根付の小箱

根付について

ここでは根付について4つの基本的な事柄をご紹介いたします。
根付とは何か?どこで入手してどのように集めたら良いか?
そして入手した根付を調べてみる楽しみ、そして保管方法などを書いてみました。

―根付とは  What is Netsuke?―


根付とは、印籠や煙草入れを着物に携帯するときに使う滑り止めの役目をする小さな飾り物です。
江戸時代以前には日本人は着物を着用していましたが、着物には物を収納するポケットがありません。
当時の人々は、印籠、煙草入れ、お金をしまう巾着袋、携帯用の筆記道具である矢立など様々な物を
携帯する必要がありましたが、ポケットが無い着物の性質上その携帯には工夫が必要でした。
携帯方法として考えられたのが、まず印籠や煙草入れに紐を結び、その紐の先に根付をつけます。
その根付を着物の帯の下から通して、帯上端に根付をひっかけるという方法で 提げ物を携帯していました。

当初は例えば動物の骨、銅銭、木の実などが根付として使用されていましたが、
次第に凝った造りの根付が、それ専用に作られるようになりました。
江戸時代後期になると、装飾や材質にこだわった根付が作られるようになり、
あらゆる階層の人々の間で、根付は大流行を見るようになりました。

明治時代に入ると、日本人が着物をあまり着なくなり、同時に根付は衰退してゆきました。
現代では日常生活で根付を見ることはほぼありませんが、
携帯電話に付けられた携帯用ストラップに、当時の根付の雰囲気を感じるかもしれません。

提げ物(ここでは印籠)に対する根付の使用方法
牡丹蒔絵印籠と牡丹鏡蓋饅頭根付(無銘)
光琳螺鈿蒔絵印籠と牙刻鹿根付(無銘)

―収集方法 How to Collect―


いま根付を入手しようとしても、市中で目にすることはまずありません。
一般的には骨董品を扱う古美術店や、各地で開催されている骨董市で入手することができます。
しかし購入の前に待ってください。他の古美術品と同様に、根付にも多くの偽物があります。
購入の前にまずはしっかりと勉強して、本物を見る目を養ってほしいと思います。
東京国立博物館をはじめとして、根付を展示している博物館は全国に多くあります。
また根付に関する書籍や博物館の図録もありますので、多くの実物を写真で見ることもできます。
本物の根付がもつ雰囲気や特徴を自分なりに掴むことが大切です。

根付は多くの根付師によって作られてきました。様々な意匠の根付が様々な材質で作られました。
どのような根付を集めるかは、個人の自由であり、同時に楽しみでもあります。
自分の好きな生き物や、自分の干支にちなんだ根付を集めたりするのも楽しいでしょう。
また気に入った根付師の作品に絞って集めるといった楽しみもあります。

私は自分の干支が虎ですので、虎や獅子の意匠の根付が好きです。
また虎や獅子の根付は、比較的数も多いので入手しやすい根付です。
空想上の生き物である龍、河童、人魚、白澤、雷獣、猩々、麒麟などの根付は、
数が少ないのでレアアイテムにはなるでしょう。

木刻虎根付(無銘)
木刻眠り猩々根付(銘:由久)
木刻雷獣根付(無銘)

―根付を調べる Research―

自分の持っている根付が、いつ頃・どういった根付師によって作られたものなのか?
これを調べることは、とても楽しい作業です。
私の印象では、根付のうち銘が入っている物はおおよそ4割くらいでしょうか?
無銘の根付の方が少し多いイメージがあります。

銘が入った根付を調べる場合、まずその銘が判読できるかどうか?が最初の一歩です。
使用による「なれ」によって、銘自体が判読しにくくなっている根付もあります。
また草書体や行書体によって銘が入れられている場合、くずし字になれていない現代人は 判読しにくい場合もあります。

根付師の銘が判読できれば、あとは書籍によって調べることができます。
私がよく使用するのは、「根付の研究」(上田令吉著 昭和18年刊)です。
巻末に約100ページ、1300人の根付師が載っており、調べることができます。
しかし実際は載っていない根付師も多く、その場合はネットで検索することが多いです。
海外のほうが日本よりも根付の研究が進んでおり、検索キーワードとして、
「netsuke」と「調べたい根付師のローマ字表記」の2つを入れれば、ヒットする場合があります。
無銘の根付は、その作風によって判断することになります。 これについてもいつか書いてみたいと思います。

木刻玉獅子根付(銘:正山)
読みやすい銘です。
上田令吉著「根付の研究」
によれば以下のとおり。
「正山(しょうざん)木刻を以って寿老
萬歳、獣類等を作り、巧妙の作あり、
天保慶應の頃の人なり」
虎渓(こけい)の草履に犬根付です。
虎渓の銘は年齢と共に書体が変化します。
「虎渓 木刻を以って、多く獣類を作る
殊に虎を得意とし虎渓の虎は世に定評あり
又動物などのうらゆき殊に見事なり」
上田令吉著「根付の研究」より
PAGE TOP